旧車メルセデスW123の塗装修理と研磨作業
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懐かしいW123が入庫しました
1976年から1985年まで販売していたメルセデスベンツW123。
一番新しいモデルでも今から37年前のお車になります。たまに街中で見かけることがありますが最近あまり目にすることも無くなってしまい、ましてや触れることなど全く無くなってしまいました。
通常使用に耐えうる個体となると様々なメンテナンスが必要で維持が大変なのでしょう。
入庫したW123は、先日HPでもご紹介しました「マット塗装のG63AMG」のコーティング施工をご用命頂きましたお客様のセカンドカーになります。
セカンドカーと言っても、この方、他にも魅力的なお車を所有されていまして、拝見させていただきましたが素晴らしいお車で、羨ましい限りです。お金と手間と駐車場所があるのであれば私も所有したいところですが無理ですので我慢です。
このメルセデスベンツ230Eは日常の足としてお使いのようで、特に問題なく元気に走ることができるようです。
一か所だけ気になる場所があるらしく、お伺いしたところ、「トランクの錆びを何とかして欲しい」とのこと。
弊店でお手伝いさせていただけることであれば喜んでお受けいたします。
メルセデスベンツW123の錆びが発生
早速積載車でお伺いしてお車をお預かりいたしました。
それにしても懐かしい車内の匂いと、シフトノブやハンドルの手触り。感動です。
シートも今のメルセデスとは異なり、スプリングの効いた座り心地で、通気性の良いファブリックは暑い真夏のこの時期でも嫌な感じはしません。かつて、メルセデスのシートは”呼吸するシート”と言われるくらいレベルの高いシートでした。
と、まあ、一人で勝手に興奮してしまいましたが、まずは損傷箇所を拝見します。トランクの角に何やら怪しい変色が見られます。
旧車にありがちな錆びの発生は、見た目以上に被害が大きい場合が多く、塗装の下に潜り込んでどんどん進行してしまっていることもありますので、安易に見た目で判断するのは禁物です。
本格的な錆び除去や、他に気になる箇所を全て修理すると莫大な費用がかかりますので、旧車を維持していくコツでもありますが、気になるところを手直ししながら付き合っていくことが長く付き合っていくことに繋がるかもしれません。
今回の錆びの修理に際してはなるべく費用をかけずに最低限の修理で完了させることを目標にお見積りをご提案致しました。その他、せっかくお預かりいたしましたので、全体磨き(研磨)をご提案申し上げ、了承の上作業に取り掛かりました。
塗装修理の前に全体磨き作業
トランク部の修理に際し、ウェザーストリップ脱着が必要で、この部品、一度外すと再装着不可のため、新品をオーダーすることになりました。
部品が欠品しているか不安でしたが、部品も確保ができ、入荷までの間、時間が勿体ないので「全体磨き(研磨)」作業を行いました。
旧車をピカピカにすること
今から40年も前の車をピカピカにすることは簡単ではありません。
弊店が毎日行っている、研磨作業で塗装を整えてコーティング施工するような通り一遍のやり方ではピカピカにはなるかもしれませんが、塗装の輝きや色合いのバランスが崩れ、施工により塗装膜を極限まで削ってしまい、下地がむき出しになる恐れがあるかもしれません。
《施工前》
所々再塗装され、すでに研磨されつくされ、薄い塗装になっている所、紫外線で退色してしまっている所があちこちに見受けられるので、全体のバランスを考えながらボディ表面を整えました。
右リヤフェンダーの上下(モールで仕切られている上と下)で色が異なっています。
今回の作業は、弊店のメニューにはございませんが、掛かる工程と、研磨後の塗装トリートメント液剤の費用のみご負担いただく形でご案内いたしました。
今回の塗装修理や前回マット塗装のG63AMGのコーティングのご用命も賜りましたので、全体研磨・色調整え作業で3万円(税別)で作業させていただきました。(塗装修理は別途)
全体磨き開始!
この当時のメルセデスベンツはクリヤーの無いソリット塗装で、退色しやすく、磨くとバフが車体色になってきます。
研磨しすぎることで塗膜がどんどん薄くなってしまいますので、使用するコンパウンドやバフの種類を使い分けながら、パネルに合わせて磨いていきます。
今回のお車は、ボンネット、フロントフェンダーが再塗装されていましたので、その艶や色調に合わせて他のパネルの輝きを調整していきました。
特にトランクは退色が進行していましたので、ほぼ研磨ができない状況でした。
全体磨き完成!
研磨することで、塗装表面が整いました。
スッピンの状態ですとすぐに外部環境に影響を受けてしまいますので、塗装保護のための保護剤(コーティング)を施工しました。
ツヤツヤに仕上がりました。
このホイールカバーの質感、デザイン、いいですね。
助手席のドアを開け、内装をのぞいてみましょう。
エアコンの温度調整ダイヤル、シフトノブ、パワーウィンドウスイッチ・・・
いいですね。懐かしい。
このテールデザインもメルセデスの特徴ですね。深い段差のついたデザイン。決して見た目を美しくするためにデザインしたのではありません。
泥汚れが付いた時に、平面だと全体が汚れて見えにくくなってしまいますが、深い段差がついているデザインですと、全体が汚れずに(溝の深い部分が汚れにくくなる)スモールやブレーキランプの店頭が見やすくなるためにこのデザインを採用しています。
デザインには理由があるのです。
リヤガラスの姿勢の良さが素敵ですね。格式を感じます。
リヤガラスにはブルー&イエローの「YANASE」ステッカー。このW123はウエスタン自動車が輸入したメルセデスベンツになります。
運転席を開け内装を見てみます。
注目して頂きたいのがこのハンドル。大きくて握りやすいハンドルです。この大きいハンドルは万が一パワステが故障した時にもハンドルを回すことができるように大きいハンドルになっているとのこと。
現在のメルセデスベンツと比較してもかなり大きいサイズです。
あと、微妙な角度がついていてハンドルを握った時に、無意識に体が中央に向くようになっています。
安全性を第一に考えたメルセデスの車造りの哲学が随所に見受けられます。
メーターパネルの配置も長きに渡り継承されたレイアウトになっています。懐かしいですし、なんとなくしっくりきます。
このレバーはサイドブレーキ。レバーを握って引くことでサイドブレーキが掛かり、ねじりながら押し込むことでサイドブレーキが解除されます。
この車は走行10万キロ超えたあたりで、まだハンドルの模様がしっかりしています。走行過多になると模様が薄くなり、ツルツルになってきます。当時車業界では”ウナギハンドル”とか言っていましたね。
シフトレバーのギザギザの溝。ジャガーでもおなじみのシフトレバーの形状ですが、一部の国産車でも見かけることがありますが、メルセデスベンツが最初に特許まで取得して採用したのはご存知でしょうか。
この形状にすることによって誤操作が無いとの事。安全性と人間工学に基づいて車づくりがされている証拠です。
錆び発生個所の塗装修理
錆びている部分を削り取り、下地を整え、塗装の前処理をします。
ゴミ、油分等をしっかり取り除き塗装に入ります。
完成!!
仕上がりはいかがでしょうか。
これからも“お客さまの悩み”に寄り添っていきたいと考えておりますので、お気軽にお問合せください。
私どもでお役に立てることであれば喜んでお受けいたします。お問い合わせ・ご相談心よりお待ちいたしております。